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【ニュース】衆院国交委で業法・入契法改正案質疑/賃金支払いや違反対応に注視

【建設工業新聞 5月 23日 2面記事掲載】

 

 

建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)の一括改正案に対する野党の質疑が22日の衆院国土交通委員会で行われた。国が示す「労務費に関する基準(標準労務費)」をベースとした労務費の見積もり・契約に関する新たな取引ルールについて、最終的な賃金の行き渡りや違反事例への対応などの実効性の確保で国交省の考えを問う質問が多く挙がった。

 

 

最終的な賃金支払いについて、国交省の塩見英之不動産・建設経済局長は「技能者の賃金を支払う下請業者まで賃金原資を行き渡らせ、担い手確保の観点で技能者にきちんと支払ってもらう必要がある。技能者の能力に応じた賃金支払いを強く促していく」と強調。その上で、下請が賃金支払いにコミットするための契約条項の設定などを検討する考えを示した。

 

 

国の駆け込みホットラインに寄せられた情報を基に「建設Gメン」が実地で調査し、新しいルールに違反していないか確認、改善指導するとも説明した。独禁法違反の取り締まりを強化する公正取引委員会(公取委)との連携を求める声には「(原価割れ契約があった際)発注者の地位を利用している場合は独禁法違反にもなり得る。建設Gメンが調査で把握した事実を公取委に提供するなど、公取委の効果的な法執行に向けて連携する」と述べた。

 

 

下請階層の次数制限の法制化など、賃金の行き渡りを担保する踏み込んだ対応を求める意見もあった。斉藤鉄夫国交相は「重層下請構造には多くの弊害があり是正が必要だが、一律の次数制限には慎重な検討を要する。今回の法改正で適正な労務費の確保などに早急に必要な対策を講じ、一歩前進させる。(重層構造の中で)利益や経費を差し引きにくくなり、重層構造の是正に一定の効果がある」との見解を示した。

 

 

時間外労働の罰則付き上限規制の適用で、日給月給の技能者の収入減への懸念に対し、塩見局長は「将来の担い手確保のため週休2日が必要となる一方、今働いている人の賃金ができるだけ下がらない努力が必要」と話し、改正法案の中に「労務費が下請にきちんと行き渡り、賃金の引き上げにつながるようにする取り組みを盛り込んだ」と理解を求めた。

 

 

標準労務費の作成に当たって公共工事設計労務単価に歩掛かりを乗じる方法の妥当性について、塩見局長は「契約当事者の交渉の際に一般的に使われる作業量当たりの労務費を算出する方法で、使いやすく分かりやすい利点がある。作業効率を上げれば受注者のメリットになり、生産性向上にもなる。議論の出発点になると考えている」と話した。

 

 

公共工事標準請負契約約款に規定する契約変更条項の内容が、受発注者の力関係などから現実的でないとの指摘もあった。斉藤国交相は「受発注者が対等なパートナーとして話し合うことが大事だ。約款をはじめ、さまざまな約束事を、法律の理念にのっとって見直すことが必要だ」と応じた。

 

 

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出典元:wisePDS

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