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【ニュース】第3次担い手3法成立/処遇改善や生産性向上、底上げと先導両面で推進

【建設工業新聞 6月 13日 1面記事掲載】

 

 

今国会に議員立法として法案が提出されていた改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)と改正公共工事入札契約適正化法(入契法)、改正測量法が12日の参院本会議で可決、成立した。建設業の担い手の休日・賃金の確保と地域の業界の維持に向けた措置を講じ、将来にわたる公共工事の品質確保と持続可能な建設業の実現につなげる。政府提出の閣法となる改正建設業法と改正入契法が7日に成立しており、併せて「第3次担い手3法」が成立した。

 

 

一連の改正法のキーワードは「担い手確保」「生産性向上」「地域における対応力強化」の三つ。改正業法や改正品確法では共通の課題として、現場従事者の処遇改善や円滑な価格転嫁、働き方改革を推進。ICTや新技術の活用を加速させ、生産性向上も図る。改正品確法と、それに伴って議員立法で対応した改正入契法では地域建設業や地方自治体などの対応力強化に向けた措置を講じる。

 

 

改正業法・入契法は民間工事を含めた建設業全体の最低ルールの底上げを意図する。それに対し、改正品確法などは公共工事で先導的な取り組みを推進し、民間工事などのけん引役となることを目指す。改正業法では著しく低い労務費の見積もり・契約の禁止や、受注者を含めた工期ダンピングの禁止など規制的手法を駆使。改正品確法では受発注者の責務規定を拡充するなど誘導的手法を用い、それぞれの立場でより望ましい行動を指し示す。

 

 

改正品確法では処遇改善の観点で、個々の能力に応じた処遇確保や多様な人材の雇用管理の改善などの踏み込んだ対応を受注者に求める。受注者が改善を図るべき労働条件の一例として「休日」を追加し働き方改革も推進。特に市町村に対しスライド条項の適切な運用を強く促す。総合的に価値の高い資機材や工法の採用と予定価格への反映を発注者に求め、生産性向上につながる新技術の現場実装を加速する。

 

 

小規模自治体を念頭に発注体制の強化への支援も充実。改正入契法で適正化指針に則した措置の実施で「要請」止まりだった国の働き掛けを強め、個別の発注者に「勧告、助言、援助」できる権限を国に付与する。

 

 

本会議では国土交通委員会の青木愛委員長が審議経過などを説明。公共工事従事者への適切な賃金や休日を確保する施策について質疑が行われ、全会一致で可決し、付帯決議も採択したことを報告した。

 

 

□佐藤信秋参院議員(自民党公共工事品質確保に関する議員連盟幹事長)の話□

 

 

成立までに力添えいただいた皆さんに感謝申し上げる。

 

 

2019年に全会一致で成立した新・担い手3法は、下請業者が利潤・工期を確保できる発注を元請業者がすることや、働き方改革のための適正な工期の確保をうたった。今回の第3次担い手3法は担い手の休日、賃金をしっかり確保することと地域建設業などの維持、労働者の処遇改善、価格高騰時の労務費のしわ寄せ防止などを目的としている。改正公共工事品確法の第7条3項には、積算に関して「その他の特別な事情」が考慮されることが加わった。ポイントであって、前進と言える成果の一つだろう。

 

 

10日の参院決算委員会では、積算した価格を予定価格としている問題を指摘した。予定価格を下回って落札するには、(応札者が)経費や単価を下げないと難しくなってしまう。この仕組みはデフレ構造の一因だと思っている。

 

 

業界は一枚岩であることが大事だ。休日の確保も地域に建設会社があり続けるのも重要だ。能登半島地震の被災地は、建設業者が減ってしまっていた。単価の調査の結果に反映されにくいことにもさらに配慮しなければならない。危機感を持ってこれからも日本の公共調達の仕組みを変えていく議論が大切になる。

 

 

 

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出典元:wisePDS

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