登録解体工事業者とは?制度の概要と登録手続きについて解説
目次
登録解体工事業者とは?
はじめに
解体工事を行うには、「登録解体工事業者」として都道府県知事に登録する必要があります。本記事では、登録解体工事業者の制度概要、建設業許可との違い、登録要件や手続きの流れを詳しく解説します。
登録解体工事業者制度の概要
建設リサイクル法(正式名称:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)に基づき、一定規模以上の解体工事を行う場合、解体業者は都道府県知事に登録する必要があります。これは、不適切な解体工事による環境負荷を軽減し、適正なリサイクルを促進するための制度です。
登録が必要なケース
- 建設業のうち、建築物(本体の床面積の減少する場合も含みます)または建築物以外の工作物を除去するために行う工事です。
工事の内容 | 種類 | 対象の建設工事 |
登録の要・不要 |
建築物の全部解体 | 解体 | 解体 | 必要 |
建築物の一部解体 | 解体 | 解体 | 必要 |
曳家 | 修繕・模様替え等 | 修繕・模様替え等 |
不要 |
屋根版の全部交換 | 解体+新築 | 解体+新築 |
必要 |
※参照:解体工事業者登録の手引き
建設業許可(解体工事業)との違い
解体工事を行うためには「登録解体工事業者」としての登録と「建設業許可(解体工事業)」の取得が求められる場合があります。これらの違いは以下のとおりです。
項目 | 登録解体工事業者 | 建設業許可(解体工事業) |
---|---|---|
必要な工事規模 | 500万円未満の解体工事 | 500万円以上の解体工事 |
許可・登録の管轄 | 都道府県知事 | 国土交通大臣 or 都道府県知事 |
更新の有無 | 5年ごとの更新 | 5年ごとの更新 |
資格要件 | 技術管理者の要件あり | 経営業務管理責任者・専任技術者が必要 (その他にも要件あり) |
500万円以上の解体工事を請け負う場合は、登録だけでなく「建設業許可(解体工事業)」も必要になります。
技術管理者の要件とは?
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の「第31条」にもありますが、
解体工事業者は、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる者で主務省令で定める基準に適合するもの(以下「技術管理者」という。)を選任しなければならない。
と定められています。
技術管理者の要件は以下の通りです
次のいずれかの資格を有する者
・1級建設機械施工管理技士
・2級建設機械施工管理技士(種別「第1種」又は「第2種」に限る)
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士(種別「土木」に限る)
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士(種別「建築」又は「躯体」に限る)
・1級建築士
・2級建築士
・1級のとび又はとび工の技能検定に合格した者
・2級のとび又はとび工の技能検定に合格した後、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者
次のいずれかに該当する者
・解体工事に関して、8年以上の実務経験を有する者
・中学、高校、高等専門学校、大学で「土木工学科等」を修めて卒業し、解体工事に関し2年~4年以上の実務経験を有する者
登録の要件と必要書類
登録の要件
登録解体工事業者になるために特別な資格は不要ですが、法人・個人事業主を問わず、事業者として適正な運営を行うことが求められます。
必要書類
- 解体工事業登録申請書
- 誓約書
- 登録申請者の調書
- 技術管理者の資格等を証明する書類
・技術管理者の住民票
・資格証(資格等で証明する場合)
・卒業証書等(各学校の卒業で証明する場合)
・実務経験証明書(実務経験で証明する場合) - 役人等氏名一覧表
- その他譲許言うに応じて必要な書類
都道府県によって若干の違いがあるため、事前に各自治体の担当窓口で確認することが重要です。
登録申請の手続き(流れ・費用・審査期間など)
- 申請書の作成・必要書類の準備
- 都道府県知事へ申請書提出
- 審査(約1〜2ヶ月)
- 登録通知書の交付
登録手数料の目安
- 都道府県によって異なりますが、30,000円~50,000円程度です。
更新手続き・変更届出
登録の有効期限は5年間です。期限満了前に更新手続きを行わないと、解体工事を行えなくなるため注意が必要です。
また、登録内容(事業所の所在地や代表者の変更など)に変更があった場合は、速やかに変更届を提出する必要があります。
まとめ(登録するメリット・注意点)
登録するメリット
- 500万円未満の解体工事を適法に実施できる(ただし、500万円以上の工事には建設業許可が必要)
- 信頼性の向上(元請け業者や発注者からの信用)
- 適正な解体工事を通じた環境負荷の軽減
注意点
- 500万円以上の工事には「建設業許可」が別途必要
- 5年ごとの更新を忘れない
- 都道府県ごとに申請要件が異なるため、事前確認が重要
登録解体工事業者として適正な手続きを行い、安全かつ適切な解体工事を進めましょう。
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