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建設業許可の種類とは?4つの許可種類と29の許可業種について

建設業許可 種類

 

建設業界で事業を行う際、適切な許可を取得することは、法律遵守はもちろん、信頼性や業務拡大にも直結します。この記事では、建設業で必要とされる許可の種類とそれぞれの詳細について解説し、さらには29の異なる建設業許可の種類にどのように対応すべきかについても具体的に説明します。許可を受けるための基本要件から、申請プロセス、必要書類の準備、さらには許可取得後の手続きや更新まで、この一連のステップを理解することで、業者は適切な対策を講じ、業務をスムーズに進めることができるようになります。包括的なガイドとして、事業者にとって非常に価値のある情報が詰め込まれています。

 

 

建設業許可の基本

建設業許可とは、建設事業を行うために国または地方自治体から受ける公的な許可のことです。この許可を取得することにより、建設業者としての信頼性が認められ、大規模なプロジェクトや公共工事への参加が可能となります。許可なく建設業を営むと法的な罰則を受けることがあるため、適正な手続きを踏んで許可を受けることが極めて重要です。

 

建設業許可が必要な理由

建設業許可が必要な主な理由は、建設工事の品質と安全を確保するためです。許可制度により、技術と財務の両面で基準を満たした業者だけが建設業を行うことができるため、不適切な工事が社会に及ぼすリスクを最小限に抑えることが可能です。また、消費者の保護を図るとともに、建設業界全体の公平性と透明性を高めることも目的とされています。建設事故のリスクを避け、業界全体の信頼を維持するためには、この許可が不可欠とされています。

 

許可を受けるための基本要件

建設業許可を取得するためには以下の許可要件を満たす必要があります。

 

①建設業の経営業務の管理を適正に行う体制
②営業所ごとに専任技術者を配置すること
③財産的基礎、又は金銭的信用を有していること
④欠格要件に該当していないこと
⑤不正又は不誠実な行為をするおそれがないこと

⑥適正な社会保険に加入していること

 

この要件をクリアしていることが必要となります。

建設業許可の基本について概説しました。次に、具体的な許可の種類とその条件について詳細に解説します。

 

 

4つの許可種類

建設業を行うには、事業の規模や種類に応じて異なる種類の許可が必要です。一般建設業許可、特定建設業許可、知事許可、及び大臣許可という4つの許可種類が存在します。これらはすべて建設業法に基づいて規定されており、適切な許可を取得することが業務を合法的に行うための必須条件となります。

 

一般建設業許可

一般建設業許可は、建設工事の請負金額が「500万円以上」の建設工事に関して必要な許可の種類です。
多くの建設業を営む会社が建設業許可を取る場合、この一般建設業許可が該当します。

 

特定建設業許可

特定建設業許可は、一般建設業許可よりも大きな規模の工事を扱う企業に対して与えられます。特定建設業許可を受けるためにはより高い経営基準と技術基準が設けられており、大型の商業施設や公共工事など、大規模なプロジェクトを手がける能力が必要です。

特定建設業許可は

 

①発注者から直接請負う1件の工事につき、その工事の全部又は一部を下請けに依頼する。
②その工事の下請け代金の合計が③以上となる
③4,500万円(建築一式工事の場合には、7,000万円)以上

 

この場合に必要となる許可となります。

 

知事許可

知事許可は、2つ以上の営業所が都道府県を跨がずで建設業を営む場合に必要となる許可です。
建設業法上の営業所が、一つの都道府県にある場合は、知事許可のみで足ります。もし2つ、3つの営業所を一つの都道府県に設置する場合でも、知事許可があれば問題ありません。
知事許可であっても、許可を取得した都道府県外の建設業の工事は請負うことが可能です。

 

大臣許可

大臣許可は、2つ以上の都道府県に建設業法上の「営業所」を設置する場合に必要な許可となります。

例えば、営業所を東京都と千葉県に設置する場合は、管轄行政が異なるため知事許可では足りず、大臣許可が必要となります。大臣許可を受けるためには非常に高い経営能力と技術力が求められ、厳しい審査が行われます。

 

 

建設業工事の29種類

建設業許可制度では、2種類の一式工事と27種類の専門工事、全部で29種類の建設工事業が定義されています。これらの業種は、具体的な工事内容に応じて分類され、各業種には特有の技術や専門性が求められます。この分類は、業者が取得すべき許可の種類や範囲、業務の適正な遂行を保証するための重要な基準となっています。建設業許可を申請する際には、この29の業種に精通し、それぞれの業種に対する理解を深めることが、業務拡張や法令遵守の鍵となります。

 

一式工事と専門工事

建設業の中で「一式工事」とは、複数の異なる種類の工事を一括して請け負うことを指します。例えば、建築一式工事業者は、土木、建築、設備工事など、建物の建設に必要なさまざまな工事を統合的に行うことができます。これに対して「専門工事」とは、電気工事、管工事、塗装工事など、特定の技術に特化した工事を指す言葉です。専門工事業者は、特定の技術領域において高度な専門知識と経験を有し、その分野でのみ工事を行います。

 

土木一式工事 建築一式工事
大工工事 左官工事
とび・土工・コンクリート工事 石工事
屋根工事 電気工事
管工事 タイル・レンガ・ブロック工事
鋼構造物工事 鉄筋工事
舗装工事 しゅんせつ工事
板金工事 ガラス工事
塗装工事 防水工事
内装仕上工事 機械器具設置工事
熱絶縁工事 電気通信工事
造園工事 さく井工事
建具工事 水道施設工事
消防施設工事 清掃施設工事
解体工事 合計29種類

 

許可業種別の対応と準備

建設業許可を取得する際には、業種ごとに求められる基準や条件が異なるため、事前の準備と明確な対応戦略が必須です。また、許可を得た後も、その許可に基づく業務を適切に遂行できるよう、継続的な技術研修、安全管理の徹底、法規制の遵守が求められます。これらの業種別の要件を確実に把握し、適切な準備を行うことが、事業の成功を左右する重要な要素となるのです。

 

 

許可取得の手続き

建設業を営む上で、法的な許可を取得することは極めて重要です。この許可は、事業者が国や自治体から一定の基準に達していると認められるための証として機能します。許可取得の手続きは複雑であり、正確な書類の準備と適切な申請手順の理解が必要です。ここでは、許可取得の手続きにおいて特に注意すべき必要書類と申請プロセス、そして許可を得るための審査のポイントについて詳しく説明します。

 

必要書類と申請プロセス

建設業許可申請に必要な書類は多岐にわたります。主な書類としては、事業の財務状況を示す財務諸表、事業を運営する法人の定款、事業所の賃貸契約書、受任者(代表者)の資格証明書などがあります。また、技術者の配置に関する証明や経歴書も不可欠です。これらの書類は、所轄の官公署によって要求される形式や提出方法が異なる場合が多いため、事前に確認することが重要です。

申請プロセスは、まず所轄の行政機関に事前の相談を行い、書類の準備が整った後、正式な申請を行います。多くの場合、申請書類はオンラインまたは直接、官公庁に提出する必要があります。提出後、行政機関による書類の審査が行われ、場合によっては追加情報の提供を求められることがあります。この過程には数週間から数ヶ月かかることが一般的です。

 

審査のポイント

審査では、申請者が建設業法で定められた経営基準や技術基準を満たしているかが評価されます。経営基準には、財務安定性や信用状態が、技術基準には設計や施工管理能力が含まれます。特に注目されるのが、健全な経営体制と適切な技術者の配置です。申請者は過去の実績や計画の具体性を明らかにし、行政機関の信頼を得られるよう努める必要があります。

また、安全管理計画や環境配慮計画など、特定のプロジェクトに関連する具体的な計画の提出も求められることがあります。これらの計画は、建設活動が社会や環境に与える影響を最小限に抑えるための対策をどのように整えているかを示す重要な文書です。

 

 

許可後の手続きと更新

建設業界で事業を運営するためには、適切な許可の取得が前提ですが、許可を得た後の手続きと許可証の更新及び維持も非常に重要です。事業の継続的な合法性と安定性を保つために、これらのプロセスは細心の注意を払って遂行しなければなりません。

 

許可後の手続き

建設業許可を受けた後、事業者は許可証を受領し、その許可条件に従って業務を開始します。許可証の有効期間内においても、新たな事業所の開設、事業内容の変更、経営体制の変更などが生じた場合は速やかに建設業許可の変更申請を行う必要があります。また、事業所ごとに安全管理体制や従業員の教育訓練を徹底し、工事現場での安全規則遵守が求められます。これにより、不測の事故やトラブルを未然に防ぐことができ、社会的な信頼を維持することが可能となります。

 

許可証の更新と維持の条件

建設業許可証の更新は通常、許可証の有効期限の前に行います。この更新プロセスには、過去の事業活動が許可基準に準じて行われたことを示す証拠の提出が必要です。具体的には、経営事項審査、工事実績の報告、財務状況の開示が含まれます。更新の際には、これまでの経営の透明性や法令遵守の状況、技術力の維持・向上、安全管理の実施状況などが評価され、問題がないと判断されれば許可証が新たに発行されます。許可の更新手続きと合わせて、継続的な教育や新しい技術への適応、リスク管理の強化など、事業の質を保つための努力も求められるでしょう。

 

 

まとめ

本記事では、建設業許可の基本から許可の種類、必要な手続き、許可後の更新までを詳しく解説しました。建設業許可は、建設業を法的に行うために必要な許可であり、許可を得るためには一定の基本要件を満たす必要があります。許可の種類には、一般建設業許可や特定建設業許可などがあり、それぞれ知事許可や大臣許可によって異なる審査基準が適用されます。

建設業許可において29種類の工事が認められており、それぞれ一式工事または専門工事に分類されます。申請プロセスでは、必要な書類を準備し、建設業法に基づいた審査が行われ、許可証が交付されます。許可証の保持には定期的な更新が必要であり、維持のためには一定の基準を継続して満たす必要があります。

このように、建設業許可を取得し、維持することは多くの労力と時間を要しますが、法令を遵守し専門性を持って事業を行うことで信頼性の向上にも繋がります。建設業者やこれから建設業に携わろうとする方々にとって、この記事が有用な情報となることを願っています。

この記事を書いた人

松上 隆良

行政書士まつがみ事務所 代表 松上隆良
取扱業務は、許認可業務をメインとし、特に【建設系】を得意業務として対応している。建設業許可、経営事項審査、公共工事入札の対応に特化している。他にも、産廃収集運搬、解体工事業登録、登録電気工事業者、自動車登録、出張封印なども対応している。
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